『わたしたち、もっとビッグになります』--快進撃SPEEDに特別インタビュー
1998年12月22日
もう新人じゃない――。この1年を振り返る4人の言葉には大きな自信と成長の跡が刻まれていた。(日経エンタテインメント! 99年1月号から)
――まずは今年のSPEEDの最大のイベント、全国ツアーを終えての感想から聞きましょう。島袋寛子 そうだなあ、できるかなあと思ってるうちに、あっという間に終わっちゃった感じ。
新垣仁絵 ほっとした。夏休みの間はライブが続いてて毎日緊張感があったんだけど、最後の東京ドームだけ10月にポツンと離れていて・・・。
上原多香子 リハーサルも練習もなくて、すぐに東京ドームだったから、みんな不安だったんですよ。だから無事に終わって充実感はありますね。
――最初のツアーで初のドームだし不安はあるよね。
仁絵 私の場合、ドームの大きさがプレッシャーだった。(最初のドーム公演だった)ナゴヤドームを見たとたんに、ぼうぜんとして「大丈夫なの」って思った。
多香子 人がいないときは「わー広い会場だな」ぐらいの感覚だったんだけど、人が入るともう見えないくらいスゴイじゃないですか。
仁絵 オープニングの瞬間にお客さんを見て、もう泣きそうなんですよ。でもオープニングから泣いてたらバカみたいじゃないですか(笑)。必死でこらえました。
――最終日の東京ドームを見せてもらったんだけど、みんなよく走ってたね。
今井絵理子 ドームの端から端まで3〜4回は往復したんじゃないかな。本当、あれは次の日、腰にきたもん(笑)。もう走りたくないって思うけど、でも本番になると走っちゃう。
――よくお客さんに手も振ってましたね。
多香子 終わった後、肩が痛くなった(笑)。やっぱり後ろの人には米粒ぐらいにしか見えないから、なるべく大きく見えるように両手振って。スクリーンだけでなくて実物の私達を見てほしいなって思ったから。
――ライブでやってみて、特に印象に残ってる曲はある?
絵理子 なんだろう。みんながライブで聞きたがってたのは『White Love』だなってのは分かった。みんなフリつけをやってるのが見えるんですよ。
寛子 私は『Body&Soul』。デビューして初めて歌番組で歌った時、会場がシーンとしてたのを思い出したりして、私達もこんな大きな会場で歌えるようになったんだなって思いました。
――4人だけで楽器を演奏して歌った「仲良しバンドコーナー」は盛り上がってたね。
多香子 あれは絵理ちゃんがどうしてもギターを披露したいって言い出して。
絵理子 ギター習ってて、ちょうどツアーもあるし「一曲弾いてみっか」というノリでやっちゃったんですよ(笑)。感動的だったのは9月22フ浜松アリーナ。私の誕生日をみんなに祝ってもらってうれしかった。会場の明かりを全部消して、もう感動的でしたよ。泣いちゃいました。
多香子 夏休みの終わり頃から、キーボードで『ハッピー・バースデー』の練習してたんです。
仁絵 でも多香は、絵理の前で「♪タンタタターン」って無意識に指を動かすんですよ。「バレちゃうよ」って言ってるのに(笑)。
――今回のツアーでは、4人の意見が反映されたところもあったって聞いたんだけど。
多香子 結局、採用されたのは自分たちの衣装だけかな。最初はみんな1人ずつ曲順も考えて、レポート用紙に書いて提出したんですよ。会議室でスタッフの話し合いに参加して。
仁絵 ステージのアイデアもいろいろ言ったんだけど、あんまり選ばれないのが多かった。SPEEDのは変なアイデアだったから。バンジージャンプをしたいとか。
多香子 本当はね、もっと後ろのお客さんにサービスできたらなって思ったんですよ。お客さんのところまで吊されていくとか、アイデアはあったんですけど、それも却下になっちゃって。
仁絵 ただ思いついたことを言うだけじゃダメなんですよね。
――この夏は映画『アンドロメディア』の公開も話題だったけど、仕上がりはどう?
絵理子 ビデオ見て、感動しましたよ。「おー、みんな演技してるじゃん。いけてる!」って。
寛子 私は監督さんに言われて映画館に見に行ったんです。映画館で見ると緊張感がありますね。主題歌の『ALIVE』は、映画を見て聞くと、もっと歌詞の意味が分かると思うんですよ。
――主演の寛子ちゃんは、顔のアップが多かったね。
寛子 恥ずかしいって感じよりも、ああ、あそこはがんばった、このシーンもがんばったって感じで見れましたよ。後から合成する映像が多かったので「こうなるんだ」って新鮮でした。
――多香子ちゃんは友情と恋愛に悩む難しい役だったけど。
多香子 撮ってる間は、人とも接しないようにしてた。あの役はあの時だからこそできたんだって今思うんです。撮影は春休みだったんだけど、あの頃はいつも同じ生活の繰り返しで外へ出たりしてなかった。今は高校生になって生活も変わって、よく友達と遊びにいってるから。
――なるほどね。ところで映画ってやっぱり緊張するもの?
仁絵 最初の本読みは緊張しました。みんなの前で台本を読むのがドキドキで。でも三池監督が凄くいい人でみんな惚れちゃいましたね。
――ちょっと怖そうに見えるけど。
仁絵 最初は「監督怖そうだね。泣くんだろうね1回は」ってみんなで言ってたんだけど(笑)。そんなことはなくて。
多香子 監督はすごい優しかった。初めての映画が三池監督で良かったなって思いましたね。
――98年のリリースは『my graduation』から始まったけど、あの曲はSPEED初の失恋ソングですよね。
絵理子 うーん、失恋の歌っていうより卒業の歌。あなたと出会えて良かったって歌ですよ。
寛子 人によって失恋の歌って思う人もいるだろうし、いろんな意味に取れるように伊秩さんは作ってくれてるから。でも私達は前向きに楽しく飛び出そうって感じで歌ってます。
――次の『ALIVE』もそうだけど、スローナンバーが続いて、仁絵ちゃんは怒ってたそうですが。
仁絵 別に怒ってはいないんだけど(笑)。でも聞いた瞬間「あっダンスができない」って思いました。「私は何をすればいいんだろう」って、すごい不安でしたね。
――スローな曲は振り付けも簡単なの?
仁絵 そんなに汗は流さないし、全然激しいフリじゃないですね。でもみんなが覚えやすいじゃないですか。友達から電話で「ああ、あれ真似できるよ」ってあったし。私の中ではもっと激しく踊りたいっていう気持ちはあったけど。
多香子 でも『White Love』以降、SPEEDも幅が広がったかなって思う。ほとんど今まではダンスミュージックだったけど、いつも踊ってるばっかりだと飽きてくると思うんですよ、SPEEDも。ちょうどいいタイミングでバラードに挑戦できたんじゃないかな。私も早く踊りたいなって思ってたけど。
――この秋のシングル『ALL MY TRUE LOVE』は久々に踊れる曲になりました。
仁絵 もう最高です。伊秩さんに感謝してます(笑)。

――このシングルには絵理子ちゃんと寛子ちゃんのソロの曲が入ってるのも話題ですね。ソロの歌番組出演はどうでした?
絵理子 めちゃめちゃ緊張してました(笑)。
仁絵 私、家で見てたんだけど、自分がドキドキしてるんですよ、「ガンバレー」って。自分が出るより、もう親の気持ちで心配してました。
――SPEEDとソロで歌うのは何が違う?
寛子 レコーディングの待ち時間にふざけたりする相手がいない。ひとりでさみしいなあって、ちょっと。
絵理子 私はユニットなんでその点は大丈夫なんだけど、やっぱり歌とかダンスも自分で責任をとらなきゃいけないから難しい。もう1人で緊張感を味わうのがいやで、これも勉強ですね。
――仁絵ちゃんと多香子ちゃんも来年はソロ活動があるそうですね。
仁絵 うーん、いま歌のレッスンをしてるんですよ。私は正直不安です。踊りしかしたことなかったから驚きましたね。新聞で“SPEEDソロ”とか見て、自分でも驚いたぐらいで。友達から「ソロを出すんだって?」とか連絡あって、みんなが私をあせらせるようにするんですよ(笑)。
――音楽以外の活動もあるんですよね。
仁絵 今、少しずつイラストとエッセイの本をやってるんですけど、もう難しくて。本を書いたりする人はすごいなって思います。
――多香子ちゃんのソロ活動は?
多香子 私も「歌うかもしれないよ」っていわれて、いま練習してます。最近になって、寛と絵理はすごいんだなって感心してるんですよ。
――音楽以外では?
多香子 ドラマに挑戦してみたいですね。私、月曜から金曜まで連ドラを欠かさず見るドラマっ子だったから。でも演技は難しいです。歌とかダンスは、曲がかかると自然に踊り出す、生活の延長って感じだけど、演技は役になりきったりするのが難しいなって思う。
――ソロ活動が始まって、「SPEEDは解散するの」って心配してる人もいるようだけど。
仁絵 大丈夫、SPEEDは解散しませんよ(笑)。
多香子 1人ずつ個性は違うから、SPEEDの中で伸ばせない部分もあるじゃないですか。そういうのをソロで伸ばす時期になったんじゃないかな。だから解散は絶対ないし、SPEEDはSPEEDでちゃんとあるし。
――これでファンのみんなも安心したでしょう。では99年のSPEEDは?
寛子 1人ずつみんな大人になっていくんじゃないかな。絵理ちゃんがもうじき中学卒業で、来年の今頃は私もそうなってて…。
仁絵 最近思うんですよ。SPEEDはもう新人じゃないんですよ。新人さんはもっと若くてキャピキャピしてて(笑)。みんなで言うんです「SPEEDはもう若さじゃないね、実力だね」って。もっと練習してビッグになって「すごいね」って言われるようなグループになります。
――では最後に、伊秩プロデューサーから4人にメッセージをもらってるので紹介します。みんなも伊秩さんに一言よろしく。まずは仁絵ちゃん。「かっこいいダンスをいつもありがとう。仁絵の声質は面白いと思うよ、ガンバッテ」。
仁絵 分かんないなあ、自分では。伊秩さんはね、すごくやさしい、怒らない人ですね。教えるのも親切で。
――次は寛子ちゃん。「ずいぶん成長したね、身長も伸びたね」と、しみじみとおっしゃってました。
寛子 あー伊秩さん(笑)。昔はしゃべりにくい感じだったんだけど、今は仲良くなれた気がする。レコーディングの時は緊張感があるけど、ブースの外に出て普通にしてる時は冗談も言うし。
――じゃあ絵理子ちゃん。「昔はレコーディングスタジオでもずっと笑いころげてたけど、最近は少しおとなしくなったかな」。
絵理子 どうもありがとうございます。もう15歳だし、大人になります。でも伊秩さんも一緒に笑ってるんですよ!
――最後に多香子ちゃん。「美貌とおしゃべりの落差をうめないでほしい。君はそれが一番すばらしい」ということです。
多香子 へー(笑)。私が言うのも変だけど、伊秩さんはクールに見えて本当はおかしい人なんですよ。いろいろお世話になってます。ここまでSPEEDがこれたのも伊秩さんのおかげです。
- hiroko:島袋寛子(しまぶくろ・ひろこ)84年4月7日生まれ、14歳●今年の事件「やっぱりカレー毒物事件が1番じゃないですか。あと結婚する芸能人が多かった気がする。幸せなこともいっぱいの1年でしたね」
- eriko:今井絵理子(いまい・えりこ)、83年9月22日生まれ、15歳●ソロ活動について「『冷たくしないで』はリズムが速いんですよ。バラードが続いてたから、もう死にそうでした。今度は作詞にも挑戦したいな」
- takako:上原多香子(うえはら・たかこ)83年1月14日生まれ、15歳●平社長について「若い人の気持ちが分かる人、社長って感じしません。社長には『みんなの性格は分かるけど、多香子だけは分からない』って言われてます」
- hitoe:新垣仁絵(あらかき・ひとえ)81年4月7日生まれ、17歳●今年の事件「お気に入りのアッシャーっていう黒人のミュージシャンがいるんですけど、あるテレビ番組で彼が私にメッセージをくれたんです。感激しましたね」
インタビュー・文/日経エンタテインメント編集部 写真/萩庭桂太 スタイリスト/宮本窓 ヘア&メイク/中野明海
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