AGING Web

トップページ > AGING INNOVATOR 超高齢社会対応の先駆者たち > 業界の常識を変え、税理士業界を変えた戦略 比較されることでサービスの質は向上する 第1回

プロフィール

ビスカス代表取締役
八木 美代子 氏
ビスカス代表取締役、相続コーディネーター。
早稲田大学教育学部卒業後、リクルート入社。
1995年に税理士紹介のビスカス設立。
2010年に相続に強い税理士のみを集めたサイト、相続財産センターを設立したほか、
2013年、老人ホーム紹介事業「みんなの老人ホーム」
2014年、会計事務所向けの人材紹介事業「人材スカウト」などに取り組んでいる
●著書
「相場の相場55例」(2012年 ダイヤモンド社)
「相続、いくらかかる?」(2014 日経BP社)
Good Doctor NET メンタルヘルスとリワーク
 

業界の常識を変え、税理士業界を変えた戦略
比較されることでサービスの質は向上する

第1回(2回連載)

構成:21世紀医療フォーラム取材班 但本結子
文責:日経BP社 21世紀医療フォーラム事務局長 阪田英也
2014/08/12

1995年、企業の経営者や個人に対し、税理士を無料で紹介するビジネスモデルを日本初で立ち上げ、20年で10万件以上のマッチングを実現してきたビスカス。この新たなビジネスモデルを核に、2010年に相続に強い税理士だけを集めた「相続財産センター」、2013年に老人ホーム紹介事業「みんなの老人ホーム」、2014年に会計事務所向けの人材紹介事業「人材スカウト」を開始するなど、ベンチャー企業としての挑戦をし続けている。

2回連載の1回目は、同社代表取締役の八木美代子氏に、ビスカス設立の経緯から同社の強み、次の課題などについて、お話を伺った。

税理士と経営者のニーズがミスマッチ
悩んでいる人の思いに応えたい

八木さんは、税理士紹介というユニークなビジネスを日本で初めて立ち上げられましたが、設立の経緯について教えてください。

八木 大学を卒業して入社したリクルートに在職中、祖母が亡くなりました。実家は父親の兄弟が多く、相続や財産分与が難しくなることが懸念されたため、弁護士を探すことになったのです。当時はインターネットもありませんから、探す手段は電話帳です。

黄色の分厚いタウンページですね。

八木 覚えているだけでも11カ所の弁護士事務所に、身内が亡くなってお金の相談がしたいと電話をかけたところ、先方は相続の話とわかっているのに、若い女の子からわけのわからない電話がかかってきたとでもいうように、どの事務所でも「先生はいません」「いつ帰るかわかりません」と、ぞんざいな扱いを受けました。こちらはお金を払ってでも相談したいと思っているのに、なぜこんなにも上からの対応なのか、良い印象が持てませんでした。

そのとき、ふと気づいて、家を探す際には不動産屋を頼るように、弁護士を探すときにも仲介の会社があるかもしれないと思って探したところ、そうしたサービスはなかったのです。だから、ビスカスのような仕事があった方がいいだろうと思ったのが最初です。

いろいろ調べていくうちに今の税理士に不満を持っている、どうやって探したらいいかわからないなど、自分と似た悩みを持っている人が多いこともわかってきました。

そこで、ないなら自分がビジネスモデルを作ってしまおうと思われたわけですね。

八木 どこに、どんな税理士がいて、いくらで何をやってくれるのか、明確に教えてくれるところがあれば助かるだろうと思いました。

会社を辞めてすぐに起業されたのですか。

八木 実は、日本語教師の免許を取って、後進国で日本語を教えられたらいいなという気持ちで、リクルートを辞めるはずでした。ところが、いきなりそうしたことがあり、背中を押されるような形になりました。

当時はファクス付き電話機が登場したばかりで、手始めに、これを使って企業のオーナーや経営者にやみくもにアンケートを送ってみたのです。すると、「とんでもない決算書を作られた」「調査に入られて多額の税金を持っていかれた」「責任逃れした」と税理士の悪口を書く人もいれば、「もっといい税理士はいないか」と相談してくる人など、たくさんの本音が返信されてきました。

今の税理士といかにミスマッチが起きているのか、税理士のいない会社がどんな悩みを抱えているかがわかったとき、このビジネスでお金儲けができるどうかより、とにかくこの人たちに応えたいという思いに変わりました。当初はニーズに応えたい気持ちで始めましたが、途中で真剣にビジネスモデルを考えてみようと、試しに知り合いの税理士に声をかけたところ、みんなノーです。「お客さんを取ることになるから、絶対に無理だよ」と。そんな中で、面白いんじゃないと助言してくれた税理士さんが4人ほどいて、それで起業しました。

顧客へのアプローチはどのようにされるのですか。

八木 顧客からの電話を待つのではなく、こちらからかける、要するに架電営業です。これは今でも当社の営業スタイルですが、税理士のサービスや料金、それに関して不満はないかなどを電話でヒヤリングします。

例えば、自動車販売業であれば、輸出入の中で消費税の還付が発生する。建設業だったら、経営事項審査についての業務が発生するといったように、業界特有の問題があるものです。面白いのは、これらの問題と返信アンケートに書かれた税理士への不満が見事に一致することでした。

また、電話で相談や不満を聞いているうち、法人だけでなく、個人の方たちも、さまざまな問題を抱えていることに気づきました。例えば、サラリーマン大家で資産や土地を売却したから確定申告はどうすればいいのかという相談がある。すると、今度は相続の問題も出てくる。スタートは税理士紹介からでしたが、法人のオーナーをはじめ、個人事業主や一般の人たちにも税務関係は必要だとわかり、もう少し広くやろうと法人化して本格的に取り組み始めました。

(構成:21世紀医療フォーラム取材班 但本結子 
文責:日経BP社 21世紀医療フォーラム事務局長 阪田英也)

Copyright(c) Nikkei Business Publications,inc. All Rights Reserved.